KD材(Kiln Dry Wood)とは
KD材とは人工的に短期間で乾燥させた木材です。
数十年前までは日本でも自然に乾燥させた木材を使っていましたが、現在はこの強制的に乾燥させた木材が主流です。
原木から製材後、2週間~1か月くらいで乾燥、そして建材として流通します。
強制乾燥により、水分(含水率)を極力へらすので狂いがほとんどないのがKD材のメリットです。
しかし、このメリットとは工場や施工する側のメリットです。加工しやすいうえ、完成後の建付けなどのクレームを減らすことができるためです。
なぜ消費者側のメリットではないのでしょう?
「板倉建築住宅」で知られる筑波大の安藤邦廣名誉教授の名言を引用します。
『人工乾燥の木材は細胞が老化した老人の肌のようなもの。バサバサしていて艶もないし張りもない。呼吸しない。
それに対して自然乾燥の木材は若者の肌のようなもの。収縮や膨張などの悪さもするが艶やかで張りもあるし呼吸する。それに、これから壮年期にかけて更に強くなる。だから何百年もの間家屋を支えることができた。
それに対してKD材は、強制乾燥をかけた直後から劣化が始まる。しかしそれでも、30年程度は問題なく家屋の建材として使用に耐えることはできる。
今の日本の住宅は大抵30年位で寿命が来るから、それだけ持てばよいというのなら、KD材でも問題ない。
ただし、かつての日本の民家のように、建て替えの際に木材を再利用することは絶対にできない。劣化した抜け殻のようなものだから。』
一般的な家の保証期間は引き渡しから10年間、中には20年30年というところもあるでしょうが、それが木の耐久性に関わる保証かどうか。
とにかく通常の保証期間内でのクレームは減らせるわけです。
KD材に使われる木材は目が粗い元々強度の弱いものが最適で、目が詰まっている強度のある木材は強制乾燥には向かず使われることはありません。
とにかく現場で加工しやすいものを。文句を言われないものを。というリクエストがこれほどKD材が増えた理由です。
運が悪ければ住宅ローンを払い終える前に家の寿命が来てしまいます。
そうはならないまでも、10年20年と経ちかなりのメンテナンスが必要になれば、その費用は消費者の負担となってしまいます。