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国産木材の耐久性

木材の耐久性(ヒノキ・スギ)

1300年以上の歴史を持つ法隆寺を支える木はヒノキ

日本書紀には「スギとクスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい」と書かれています。

ヒノキは古い時代から宮殿建築用として最適で最高の材となることが知られていました。

今でも、ヒノキは神社や仏閣を建てるための木材として使われています。
日本の木材のなかでも優れた耐久性があるヒノキで建てられた法隆寺や薬師寺の塔は、1300年経った今も立派に維持されています。

法隆寺 五重塔 芯柱は1400年以上前の590年代頃に伐採されたヒノキ
薬師寺 東塔

鉄やコンクリートには、これほどの耐久性はなく、好条件が重なっても100年程度といわれています。一般住宅レベルでは20年ほどで劣化がはじまるところもあります。


全国各地の社寺の修理・改築等を行っている宮大工さんは「1300年経ってもヒノキを削ればよい香りがするし、(このままさらに)使うこともできる。」と言います。

木は切られたときに第一の生命を絶つことになりますが、建物に使われた時から第二の新しい生命が宿り、何百年もの長い歳月を生き続ける力を持っています。

なぜ、ヒノキはそんなに強い材なのでしょうか。
下のグラフはヒノキの強さが伐採後どのように変わっていくかを表したものです。

ヒノキの強さの経年変化

ヒノキは伐採してから200年間は強くなり、その後1000年かけて徐々に弱くなることがわかります。
つまり、今伐採した木と法隆寺や薬師寺で使われている1300年以上前の木とは強さが同等なのです。

ヒノキは木材として耐久性や保存性が世界最高レベルと言われています。
ヒノキ材は仕上がると、美しい光沢とともに、やさしい雰囲気を持っています。

また、特有の芳香があり、ヒノキ風呂、ヒノキ酒器など、ヒノキの香りは多くの人々に好まれています。
香りの成分はアルファピネン、ボルネオールという物質です。

この他にもヒノキには気分を落ち着かせる効果があったり、抗菌効果などをもつ有用な物質が多く含まれていることから、古くからまな板や弁当箱の材料としても使われています。

檜(ヒノキ)と杉(スギ)で守られてきた正倉院の宝物

シルクロードの終着点の国際都市「奈良」、今から1300年ほど前、奈良の都は中国や遥かペルシャなどの大陸各地からシルクロードを経由して人々が集まる国際都市だったそうです。

そのため学問・芸術・宗教など文化にまつわる多種多様な文物も集まりました。

東大寺の正倉院には、聖武天皇御愛用のその時代の宝物が収められており、絵画や楽器・鏡をはじめ、食器・衣装・文房具・アクセサリー・ゲームに至るまで約9000点もの貴重な逸品が揃っています。

他に類を見ないほどの保存機能を持つ校倉(あぜくら)

正倉院のすばらしさは、収蔵されている宝物が一度地中に埋蔵され発掘された出土品ではなく、当初から世に愛玩され今日まで大切に伝えられてきたことです。

繊細な細工や染織も鮮やかな色と形を失わず残っています。

薬や香料は今でも効能を保っていると言われています。
校倉で作られた正倉院の保存機能がいかに優れているかがわかります。
これほど優秀な倉庫は、世界でも正倉院をおいて他になく、正倉院は「世界の宝庫」と言われています。

その校倉(あぜくら)づくりはヒノキの部材で作られています。

強度とともに風雨や腐食に強いヒノキが宝物を守ってきたのです。
やはりヒノキは世界最高レベルの優良な木材であるとうなづけます。

さらにもう一つ特筆すべきことがあります。

それは、宝物はスギの唐櫃(からびつ)に入れられて保存されてきたことです。

スギには調温作用・調湿作用はもちろん、オゾンや二酸化窒素など宝物を劣化させるような物質を吸着してしまう機能があることがあることが最近の研究でわかってきました。

遥か昔の奈良時代には科学的な裏付けはなかったはずですが、経験によってわかっていた人々は木の性質を見極め、上手に付き合ってきたのでしょう。

人間も正倉院の宝物と同じように木に囲まれて生活していれば、健康で美しくいつまでも長生きできるのかもしれません。

実は、人間も木の空間にいると癒されたり、インフルエンザにかかりにくくなったり、ダニやカビを寄せ付けず、気管支喘息やアトピー性皮膚炎にかかりにくくなったり、乳がんによる死亡率が低下したりというような、科学的データが近年発表されています。

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